2011年3月21日月曜日

Song for Japan 東日本大震災チャリティソング「誇り高く」東京エスムジカ(長文)

東北地方太平洋沖地震が起きてからもうすぐ10日。

あの時、東京の地下スタジオにいた僕は、地上に飛び出した。
あまりの揺れの大きさに、おののいた。
波打つ地面と大きく揺れる建物や電柱、そして揺れの長さ。
死ぬかもしれない、と覚悟した。

夜、家に戻ったが、なにひとつ倒れておらず被害はゼロだった。
あとになってわかったことだけど、家族や親類も無事だった。


その後、余震が続く中、テレビやインターネットで錯綜する情報や意見にかじりつきながら数日を過ごした。衝撃と不安と祈るような気持ちの中、何度かブログを書こうとトライしたものの、何を書いてもうまくいかず、結局いまごろの更新になってしまった。

お悔やみやお見舞いの文章を書いても、その言葉がお定まりの形式的なものだという感じが強く、自分が嘘をついているみたいな気がしてしまった。かと言って、自分の言葉でなにかを書こうとしても、思いが千々に乱れてうまくまとまらなかった。自分は被災してない、その立場から被災した方々に向けて何をどう書いても、偽善的だったり、押し付けがましかったり、安っぽい同情になってしまっている気がしてしまったり。(あくまでも自分に関しての事です。)

被災された多くの方々がどのような思いと気持ちを抱いているかは、僕の想像を遥かに超えているだろうから何も書けない。経験していない者にはわからないと思ってる。だから自分についてだけ書こうと思う。

最初の3日間は自分でも驚くほど冷静でいられた。恐くはない、気がしていた。けど、月曜になって震災後初の仕事現場で休憩中にテレビを見た時、なぜか急にとても恐ろしくなって胸や腹が痛み出した。今はだいたい大丈夫だけど、ときたまその恐怖が甦る。

直下型地震の可能性への恐怖、原発事故の恐怖、死への恐怖、大切な人を失う恐怖、次々とコンサートなどの仕事がキャンセルされていくなかで仕事を失う恐怖、先行きへの不安、誰かを批判したくなる衝動、無力感。被災された方々の思いや気持ちの深さには遠く及ばないとしても、全国でも多くの方々が同じような気持ちを抱えているのではないか、と思う。


そんな中、3/16、僕はpicturesのライブに参加した。
安全面での懸念や節電の必要性もあったし、自粛ムードや、ライブなんて不謹慎という論調も広がり始めていたなかでのライブ。メンバー間で幾度となく話し合い、話は二転三転し、それでもやろう、アンプもマイクも一切使わない完全なアンプラグドで、照明も最小限にしてやろう、ということになった。
メンバー各自の思いはそれぞれだったろう。
僕個人は、そのライブをやれて本当によかった。感動したし、安心と、力をもらえた。メンバーたちとの会話からも、音楽からも、お店のスタッフさんたちからも、何よりこんな中集まってくれたお客さんたちからも。音楽そのものが大好きだし、その大好きな音楽を通じていろんな人たちとつながれる事が大好きなんだ。自己中心的だな、と思われるのは覚悟してる。けど、僕が音楽をやってるのは、元気を伝えるためとか、人様の役に立ちたいとか、そんな高い志からじゃなくて、自分が救われるから、楽しめるからやってるんだ。もちろん、結果として、聴いてくれた人が元気になるなら嬉しい。そういう声を聞けると、ものすごくやりがいを感じられる。自分にとって音楽がエネルギーを与えてくれるから音楽をやる、仲間もいる、そしてそれを楽しんでくれるお客さんがいる。
そういう、いろんなことのありがたさを感じた夜だった。
感謝の気持ちでいっぱいになった。


その少し前の3/13、東京エスムジカの早川大地がツイッター上で、チャリティソングの制作を提案、僕はすぐさま参加を表明した。やはり何か自分にできることがあるならやりたいという気持ちもあったし、たとえそれが「なにかできることに取り組む事で少しでも自分が安心したい」ためだとしてもやりたかった。それに東京エスムジカだ。インディーズデビュー前からずっとサポートでベースを弾いてきた。サポートとはいえ、ずっとエスムジカ・ファミリーの一員だと感じていた。そう感じさせてくれる空気をメンバーたちが産み出していた。いま、僕が弾かないでどうする。そしてなんといっても、2007年に脱退したオリジナルメンバーの平得美帆=rica tomorl と、瑛愛(ヨンエ)=YongAe がほぼ4年ぶりに一緒に歌うというのだから、なおのこと。つまり、ここでも、僕個人の最初の動機は、自分だ。もちろんメンバーそれぞれ動機は違うだろう。僕の場合は、自分が東京エスムジカの新しい曲を聴きたいから、美帆と瑛愛が一緒に歌うのを聴きたいから、という想いが強かった。不純な動機かな。もしそうだとしたらごめんなさい。でも、それでいいんだ、と思った。そして、結果として、困難に会われている方々の中の何人かでも僕と同じように東京エスムジカの曲を聴いてエネルギーを得ることにつながれば、なおさら嬉しい。そんな気持ちで参加を表明した。

沖縄と東京のそれぞれの自宅などでレコーディングが始まった。東京エスムジカには魅力がたくさんある。その一つはベースラインだと思ってる。早川大地の作るベースラインはすごく独特だと思ってるし、僕がゼロから作ったベースラインにも思い入れが大きい。今回、デモに入ってるベースラインは気にせず好きに弾いて、と大地に言われた。チャレンジングだ。目を閉じて曲を何度も聴きながら、曲にふさわしいベースラインが降りてくるのを待った。浮かんだのはあまり手クセにはないフレーズで、演奏に時間がかかったりもしたけど、僕の思うエスムジカ的ベースラインになったと思ってる。FenderのジャズベをAlembicのチューブ・プリF-2Bに通して録った。大地がすごく気に入ってくれたみたいで嬉しかった。それだけでも参加した価値があった。
そして楽曲制作の発案から6日後の昨日(3/19)、完成した楽曲がJ-wave『TOKIO HOT100』内で初オンエアされ、その後、Webでも公開された。
http://www.ethmusica.com/hokoritakaku/

上記サイトには歌詞も載っているし、制作の経緯や、メンバーそれぞれの想いも載っています。ぜひ読んでみて下さい。


歌詞を読み、久しぶりに美帆と瑛愛の歌声を聞いた。深く胸を打たれた。みんなの心がこもった作品になった。大地と美帆と瑛愛、そして参加したゼリーさん丸山さん澤田さん迎里さん、ありがとう。
多くの人に聴いてもらえたなら嬉しいと思っている。


Song for Japan 東日本大震災チャリティソング「誇り高く」東京エスムジカ



ダウンロードに関しては、もう少しお待ち下さい。


東京エスムジカのサイトより転載>
この楽曲はスタッフ、ミュージシャンの有志が集まって製作されたものです。合間をぬって作業を行い、震災二日後の13日に作業を開始して沖縄、東京を結んでレコーディングを行いわずか6日間で完成しました。まるで奇跡のような速度ですが、それだけ全員の気持ちがこもっていると思ってください。そしてこのような状況下にあってこそ、感じられる人々の心のつながり、胸を張って前に進みたいそんな気持ちを表現しています。 被災地のみならずすべての人々の勇気の一助になれば幸いです。 なお、追ってこの楽曲は配信販売を行いますが、その収益はチャリティーに当てられます。

歌・作詞:東京エスムジカ
作曲・編曲:早川大地 @daichihaji 
ギター:永田"zelly"健志@zelly519 
ベース:石村順 @jun_aloha 
パーカス:丸山真弘@maruyaMAX55 
ボーカル録音・ミックス:澤田ゆうすけ@SawasdeeMix 
ボーカル録音(沖縄REC):迎里中 blog 
web:西脇和馬@_plasmid